研究課題

 橋本のプロフィールや論文などは,こちらでご覧になれます.専門は,物理化学,中でも理論化学・計算化学です.国内外の実験家と協力していますが,理論的な研究で分子・物質に関する理解を深め,現代社会が直面する課題の解決に貢献したいと思います.放送大学に赴任してから,一般向けの科学教育,リカレント教育,リメディアル教育,生涯教育も研究課題になっています.多様な課題にチャレンジする意欲ある方の参加を期待しています.講義にも関連する研究を,こちら,で紹介します.

 理論化学・計算化学の課題: 実験で観測されているのに解釈ができていない現象,社会の安全,発展のために必要な知識やデータであるのに実験や観測では得にくいものの中に,未解明の分子過程であったり,理論が未成熟であったりと研究の種が潜んでいます.教科書に書いていない,あるいは書いてあることだけでは十分に理解できない未解決問題といったところでしょうか.分子の構造,反応性や機能の理論的研究ですが,医療に役立つ微量物質の検出に必要な分子技術の開発,合金による元素(原子)の代替,不安定分子種(反応活性分子)の性質などです.以下の課題に興味をお持ちであれば具体的なテーマを挙げて共同研究できると思います.もちろん,ご自身で興味をお持ちの課題も歓迎します.お仕事に直結した課題で分子レベルでの理解が必要なものは,沢山あると思います.

  1. H3O, NH4を始めとする超原子価ラジカルや溶媒和電子の電子状態と反応性
  2. クラウンエーテルと包接させる金属,ラジカル種の組み合わせによる電子状態の制御
  3. 合金クラスターによる超原子,機能性ナノ粒子の開発
  4. MALDIに代表される分析法の理論的解明と新規手法の提案
  5. 電極を含む表面の化学の理論と計算
  6. 精密な非調和振動解析手法の開発と応用

 科学教育,リカレント教育,リメディアル教育の課題:教員をはじめ,科学館,博物館,企業,サイエンスカフェの運営などで科学教育,科学リテラシーの普及に努めていらっしゃる方のなかには,肌で感じる研究の種,問題意識をお持ちの方も多いのではないでしょうか.最近はSDGs関連の課題が特に多いかも知れませんね.議論すること,協力することで研究が深まることや,研究者ネットワークが広がるがあると思います.私自身の興味,課題の例は,

  1. 科学史に基づき科学的な考え方やその発展過程を学ぶ教科,教材開発
  2. 海外の科学リテラシー教育の調査,日本との比較
  3. 基準値の研究,リスクに関するコンセンサスの醸成,環境教育
  4. 通信制,公開大学の特性を活かす教育,通信制大学ゆえの困難とその克服の研究
  5. 学習指導要領の理解を深め,教材や試験問題の開発と共有,伝承とその仕方に関する研究
  6. 化学系の職業の方,小中高教員の方のリカレント教育
  7. 現代的なリメディアル教育の必要性と対策,成果評価

などです.これらは例ですし,全く手つかずであったり,途上であったりします.興味をお持ちの方やすでになさっている方には,協力をお願いしつつ進めたい研究です.