大学院

 自然環境科学プログラムでは,修士課程にはできるだけご希望に沿った形で受け入れます.研究内容によっては,指導を客員の先生にお願いすることもあります(私の研究室では未だありません).大学院では,研究に取り組みます.自分で納得し,意義を説明できる研究をしましょう.修士課程では,指導を受けながら研究を実践する力博士課程では,独立して研究を遂行するのに必要な学識と能力を付けます.具体的な課題の解決を通じ,学んできたことを創造的に活用する術を身につけましょう.自身の研究を学問の潮流の中に位置付けます.

修士課程の受験をお考えの方へ

 入学試験には,筆記試験と面接試験があります.筆記試験の準備には,学部の印刷教材が役立つでしょう.「初歩からの○○」(○○は化学,物理など)は学習しておきましょう.もちろん,上位科目も学ぶことをお勧めします.研究に必要なことも多いと思います.面接試験は,研究計画,これまでの学習や準備状況,時間など研究実施可能性,その他をお聞きする口頭試問です.面接時の会話は,試験する側,受ける側の相互理解にも重要です.合格されれば,面接から教育/研究が始まっているといってもよいほどです.

 研究課題を設定し,実施計画を立てることはなかなか難しいと思います.ご自身が提案することになりますが,全く自発的な課題でも,私の研究に関連する課題でも構いません.やりたいことを,本気でやってください.理論だからこそできる化学の課題はたくさんあります.挑戦する方を求めます,一方,未解決問題に取り組んだり,新発見をするのでなく,これまでの学習で疑問に思っていたことについて,書籍や論文を徹底的に勉強してすっきりとわかったと言えるようになる,自分の言葉で語ることができるようになるのでもよいでしょう.全く自発的な課題の場合,お仕事との関連などの背景を語るとともに,取り組む問題を具体的に小さく絞りましょう.一方,私の研究に関連する課題の場合では,このサイトの研究課題のページや放送授業,印刷教材からどんなことに興味があるのか,準備の勉強の様子を提出書類に記述されると面接がスムーズです.現代を生きるための化学(ラジオ)は,分子論だけでなく,環境問題も含んでいます.研究計画を立てる上で,何を解くかとともに,どうやって解くかも考えましょう.

 修士を目指す方の多くが,環境,故郷,仕事,社会貢献への熱い思いや,夢,情熱をお持ちです.しかし,それを実現するとなると準備が十分でないこともあります.夢を形にするのにNPO, NGO,ボランティアとして活動したり,仕事の現場でまず実践したりして,その記録を修士論文にするような段取りの方が良いこともあるかもしれません.合格まで付き合うつもりですが,ご自身の努力や工夫が必要ですし,大事です.研究の仕方や,論文の書き方を学んだことがなければ,それも学ばなければいけません.休学もうまく使って,時間は多少かかってもお金は節約して,研究,論文作成するのも手です.そうされる方もいます.夢は応援したくなるものばかりですが,修了には夢ではなく,論文が評価基準を満たすことが必要です.「堂々と修士課程を修了した」といっていただけるもの,審査委員がそれを認めると言えるものでなければいけないと思います.当たり前ですけれど.

 専科履修生として,研究以外の単位を予め取得した上で入学される方も珍しくありません.働きながらの学習,研究は様々な制約があり大変ですから,様々な制度を活用しましょう.技術士の方も多くいらっしゃいます.私のグループでは3分の1くらいの方がそうです.放送大学の学生全体でもかなりの数の方が技術士の資格をお持ちだそうです.これから技術士の資格を取る上で,必要性を感じて修士を目指される方もいます.

博士課程の受験をお考えの方へ

 もちろん,私の研究分野に近いテーマに取り組まれるのが最も近道です.研究経験のない方は受け入れません.研究を行うのに十分な学力と英語力が必要です.学術論文にならないと博士の学位は取れません。そのレベルまでいくには,研究分野,内容も,私の専門に近くないと指導できません.私の研究をご理解の上,応募をお願いします.外部の先生に客員として指導をお願いすることはありません.一方で,私は理論と計算を研究の道具としますが,実験家に囲まれて育ち,共同研究の経験も豊富にあります.実験研究の博士審査委員の経験も,社会人の博士課程学生の指導経験もあります.

 お仕事で研究蓄積をお持ちで,退職に伴い研究をまとめたい,仕上げたいというご相談を受けることがあります.お仕事で実験研究を行ってきて,解釈に理論計算を使いたいというご希望もよくあります.理解できます.ただ,既存のプログラムをブラックボックスで使うだけ,計算をたしなむだけでは十分ではありません.ですので,まずご自身の実験研究を深めていただきたいと思います.その上で適切な計算法を選択して使う指導をすることとなるでしょう. 勉強もしていただきます.理論が出来ればなおよいです.

 修士でも博士でも,研究指導には,メール,zoom等のWeb会議システム,グループウェアを活用します.事情が許せば対面指導も致します.